大判例

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東京地方裁判所 昭和46年(借チ)27号 決定

〔主文〕1 申立人相手方間の別紙目録(一)記載の土地に関する賃貸借契約の借地条件を次のとおり変更する。

(一) 使用目的を堅固建物所有とする

(二) 借地期間を本裁判確定の日から三〇年とする。

(三) 賃料を本裁判確定の日の属する月の翌月分から3.3平方米当り一ケ月三〇〇円とする。

2 申立人は、相手方に対し、金二〇〇万円の支払をせよ。

〔理由〕(申立の要旨)

1 申立人は、相手方から別紙目録(一)記載の土地(以下本件土地という)を非堅固建物所有の目的で賃借中にして、同地上に別紙目録(一)記載の建物(以下本件建物という)を所有している。

2 申立人は、本件建物を堅固建物に改築したいが、土地の使用目的を堅固建物所有に変更することにつき相手方と協議が調わないので、右変更の裁判を求める。

(決定理由)

1 申立の当否について。

本件の資料によると、申立外太田宏は昭和二一年七月一日相手方から本件土地を非堅固建物所有の目的、期間二〇年の約で賃借し、同地上に本件建物の一階部分を建築所有し、昭和二六年右建物と本件土地賃借権を申立外奥野良正に譲渡し、申立人は、同年九月右奥野から右建物と本件土地賃借権の譲渡を受け、右借地権の譲渡につき相手方の承諾を受けたこと、申立人は昭和三四年頃右建物に二階を増築した結果その現況は木造亜鉛メッキ鋼板葺二階建居宅兼店舗床面積一階50.41平方米二階33.05平方米となつたこと、本件借地契約の期間は昭和四一年六月三〇日満了し、相手方は更新拒絶による借地権消滅を主張して訴を提起したが、相手方敗訴の判決が確定し、本件借地契約は昭和四一年七月一日法定更新されたこと、賃料は昭和三九年四月分から一ケ月四〇五〇円に改められたが、右訴訟の関係からその後増額もされず、相手方において受領を拒否したまま現在にいたつていることが認められる。

相手方は、本件建物は既に朽廃したので、これにより本件借地権は消滅したと主張する。相手方の提出した不動産鑑定士飯島実作成の不動産鑑定評価によるも、同鑑定士は昭和四六年四月四日一級建築士田渕幸俊を伴つて本件建物を調査した結果、布コンクリートの基礎に破損が見られ、土台の一部が腐朽しているが、残存耐用年数五年と判定しているばかりでなく、当裁判所が昭和四六年一一月四日本件建物を実況見分した時も、老朽化の度はかなり進んではいるが、現に申立人において本件建物を営業用及び居住用に使用していることが認められ、いまだ朽廃の域に達していないことは精緻な調査をするまでもなく一見して判るので、相手方の右主張は採用できない。附近の土地の利用状況を見るに、本件の資料によると、本件土地は、国鉄蒲田駅西口広場から西北に走る幅員一八米の道路を約二五〇米行つたところにある広場状部分の西北角にあり、同駅から右広場状部分までの地域は、商業地域、防火地域、第七種容積地区の指定を受け、区画整理により街区も整い、建物の高層化が顕著であるが、右広場状部分北側一帯の地域は、昔ながらの木造建物が多く、土地の高度利用が外観上顕在しているとはいいがたい。しかし、本件土地を含む右広場状部分の北側は、太田宏が本件土地を賃借した後商業地域、準防火地域、第五種容積地区の指定を受け、建物の中高層化は可能であるばかりでなく、少くとも、本件土地の東側及び南西側の道路(本件土地は右両道路が交叉する角地である)にそう商店街は、蒲田駅から前記広場状部分までの街区の高層化の影響を受け、土地の効率的利用の観点から、建物高層化の機運が現に到来しているものと認められ、本件申立はこれを認容するのが相当である。相手方は、本件土地が準防火地域の指定を受けたのは昭和二六年三月であり、本件借地契約が締結されたのはその後の同年九月二五日であるから、準防火地域の指定は事情変更に該らないと主張するが、事情変更は改築せんとする建物が建築された当時存在した借地契約の成立時を基準とし、地主所有の建物を買い受けて借地権の認定を受けた如き場合には、右建物の建築時を基準とし、それ以後の事情変更を指すものと解するのが法の趣旨にそうものというべきところ、申立人は、昭和二一年七月一日成立した借地契約を昭和二六年九月承継したものであること前認定のとおりであるので、相手方の右主張は理由がない。

2 附随処分

鑑定委員会の意見に従い、申立人から相手方に支払わしめる財産上の給付を二〇〇万円、賃料を本裁判確定の日の属する月の翌月分から3.3平方米当り月額三〇〇円に改め、なお、借地期間を本裁判確定の日から三〇年とするのを相当とする。 (小山俊彦)

目録

(一) 東京都大田区西蒲田三丁目一一〇番一一宅地六五坪二勺のうち二二坪五合

(二) 右地上所在

家屋番号一〇番一五

木造亜鉛メッキ鋼板葺平家建居宅

床面積 一五坪二合五勺

現況 木造亜鉛メッキ鋼板葺二階建居宅兼店舗

床面積 一階50.41平方米

二階33.05平方米

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